高血圧とコレステロール
以前は、コレステロールには、体に害を及ぼすもの、というイメージが付きまとっていましたが、最近は栄養学の進展により、その実体が解明されてきました。
私たちの身体は無数の細胞によって成り立っていますが、コレステロールはその細胞膜を構成する重要な要素のひとつです。
また、コレステロールは体内ホルモンと密接な関係があり、免疫系に働きかけて病気から身体を守るホルモンや副腎から分泌される性ホルモン、ストレスを抑制するホルモンなどの構成要素でもあります。
更に、血中コレステロールはタンパク質と結びつき、弾力性のある血管をつくりだす機能も持っています。
ですから、コレステロール値が基準値を下回るような栄養状態では、ホルモンの生成がうまく機能しないので、免疫が低下して病気に対する抵抗力が弱くなり、精神状態も安定せず、イライラをつくりだす原因にもなります。
高血圧症者はコレステロールに注意
また、血管に栄養が行き渡らなくなるので、血管は張りを失い出血さえともなうこともあります。
つまり、コレステロールが足りなくても動脈硬化を起こしてしまうということですね。
日本では、今でこそ欧米並みに肉食を主体とした食生活により、コレステロール不足に陥る心配はなくなりましたが、菜食を主体とした一昔前の食生活下では、コレステロール不足から脳出血をおこす方がたくさんいました。
かといって、コレステロール値が高すぎる場合にも問題があります。
血管の壁にコレステロールが溶け込んでしまったり、引っ付いてしまったりすることで、典型的な動脈硬化を招いてしまい、心筋梗塞のリスクが増大してしまうからです。
これらコレステロールを合成する元になるのは、脂肪ですが、この脂肪には動物性脂肪と植物性脂肪の二種類があります。
動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれているため、コレステロール値を上昇させ、植物性脂肪には、不飽和酸脂肪が多く含まれているので、コレステロール値を下げる働きをします。
ただし、青み魚の動物性脂肪には不飽和脂肪酸が多く含まれています。
コレステロールが気になる方は、肉を食べる場合は、脂分を極力避けて赤みの部分を食べるとか、そんなのは面倒という方は、さばや、いわし、あじなどを食べて肉の代替にするといいと思います。
このように、コレステロール値は低すぎても高すぎてもよろしくありません。