高血圧とアルコール
「酒は百薬の長」といわれますが、お酒の身体に対する有効な働きを期待できるのは、適量を守って、周囲との談話を楽しみながら、マイペースでゆっくり飲んでいる場合だけです。
ところが、人間ままならないもので、楽しい雰囲気に呑まれて、ついつい深酒、なんてよくあることではないでしょうか。
お酒を飲むと普通、血圧は下がりますから、四六時中活動している血管を休めるという点では、確かに有益なのですが、いったん深酒をしてしまうと血圧は下がりすぎて、ショック状態に陥ってしまうこともあります。
二日酔いの次の日に、こめかみの血管がドックンドックンと脈打っている感触を経験したことはありませんか。
こんな状態をしょっちゅう繰り返していると高血圧はどんどん根付いていってしまいます。
また、冬の寒い時など、お酒を飲んで暖房の効いていないトイレに入って用を足したり、急に戸外に出たりすると、瞬間的に血圧が上昇し、脳溢血や心臓麻痺で倒れていまうケースも多々あるようです。
あと、注意しなければならないのは、お友達などと外で飲む時。
家で飲んでいる限りであれば、晩酌の限られた酒量をちびちびと飲んで満足するしかないのですが、いったん外に出ると、久々の開放感に酔いしれて、今度は私のおごりなどと店の数も軒を連ねてついついハメをはずしがちなので注意しましょう。
高血圧に過度のアルコールは危険です
身体に支障がないお酒の量はアルコールの量に換算してせいぜい25グラムまでとされています。
日本酒なら一合、ワインならグラスで二杯、ビールでコップ4杯、ウィスキー、ブランディーならシングル2杯程度がこの量に相当します。
お酒の好きな人なら「えっー、たった?」と思うでしょうが、血圧や肝臓のことを考えたら決して少ない量ではありません。
そして、できるだけ時間をかけて、マイペースで楽しみながら飲むこと。
お酒の肴には、血圧に悪影響を与える塩辛いものは避け、ビタミンB1の豊富なレバーや豚肉、豆類などを意識して取りましょう。
このビタミンB1は、アルコールを肝臓で分解するためにはなくてはならないものです。
なお、肥満が気になる方は、お酒に含まれるカロリーにも気をつけましょう。
お酒自体が既にカロリーの高い飲み物なのですから、いくら主食に糖質や脂肪の少ないものを選んでも、お酒をたくさん飲んでしまっては意味がありません。
日本酒一合はご飯一杯分、ビール大瓶1本ではご飯1.2杯分に相当するカロリーがあるそうですから注意しましょう。
アルコールに対する反応は、人によって、またその時の体調によって、まちまちです。
においをかいだだけで酔ってしまったり、気分が悪くなったりする人がいるかと思えば、一升酒を平気で飲んでしまう人もいます。
いっぱい飲めるからといって、「俺は酒が強いんだ」と自惚れてはいけません。
お酒の飲みすぎは、確実に貴方の健康と人望を奪っていきます。
「昨日どうやって家に帰ったのかわからない」なんてことになったら、しばらく生きた心地がしなくなりますよ。
「酒は飲んでも飲まれるな」とはよく言ったものです。